日常の仕事38
私は、JR南武線平間駅を最寄とする不動産屋に勤めております。
まず、次の2つの言葉の意味を書きます。私は、以下に書く出来事がどうもこの2つの言葉に当てはまると感じました。
その言葉とは、要望 と 要求 (広辞苑より)
- 要望・・・もとめてのぞむこと。つよく期待すること。
- 要求・・・必要である、当然であるとして強く求めること。
つまり、上の2つの言葉のどちらにも、【強く】という意味が含まれています。
さて、本題です。
先日、ある借主様とそのご家族(以下、借主様達と言います)が貸室を明け渡しましたということで、貸室の玄関の鍵を持って来店されました。その借主様達は家賃を4か月分滞納していましたが、3か月分は支払って頂きました。しかし、残りの1か月分は「敷金で相殺して頂けないでしょうか?」と要望してきました。その他にも、リフォーム代金についても支払いたくない旨の要求を言っていました。後日室内を見たところ、案の定、調味料・フライパン・くつ等、ゴミ袋が2つになる位の量が残っていました。
私は、「それらについては貸主様としては、了承して頂くことが難しいかもしれませんので、こうしましょう」と別の案を申し上げようとしたところ、どうしてもその要望と要求を了承して欲しいみたいでした。借主様達は、口調も顔色も変わってきました。
「これじゃあ、こっちの案は了承してくれないな」と、私は思いました。
私は事前に、貸主様は「もう金銭的には請求はしません。あの人とは、もう揉めたくない。」という気持ちを聞いていました。私も、この借主様達とは揉めたくないし、電話やFAXのやりとりはしたくないと思っていました。
「では、一応貸主様には△△様の要望は伝えておきますので、結果は後日ご報告致します。」ということで、帰って頂きました。結果は、貸主様は全て借主様達の要望を了承するということでした。
私は、「借主様達は何故、あれほど強引に要望・要求をいうのだろう?」と思いました。また、「今まで、あまり”妥協”してこなかったのかな?」とも、思いました。確かにその場で全て了承してもらえれば、『勝ち』と思うでしょうが、何か心にわだかまりが残るように、私は感じてしまいます。
あの借主様達の身の上にもこれからいろいろな出来事が起こると思いますが、時には自分自身にとって不利になっても妥協した方がいい場面もあるだろうと思います。あの借主様達にとっては”妥協”は『敗北』と感じるのでしょうか?
あれっ! 貸室を明け渡してくれた事は、貸主様の要望・要求に”妥協”したのかな!?
要望や要求をお願いすることは間違っていません。しかし、それが全て了承されない時もあります。その時には、妥協することも必要です。妥協することによって、お互いがギクシャクしないで付き合うことも出来ると思います。
私が従事している不動産業界は、貸主と借主・売主と買主の仲を取りもって(つまり、仲介)契約などを結ぶ業界です。
従って、”妥協”は『敗北』ではありません。そして、『勝利』でもありません。[引き分け]です。今までのことは無かったことにして、そして忘れて、新しい関係・わだかまりのない関係を築きましょうということだと、私は思います。
あの借主様達の将来が少し心配です。
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