1997年10月1日、北陸新幹線(通称、長野新幹線)の高崎-長野間が開通しました。そして、並行している在来線である信越本線(高崎-横川-軽井沢-上田-篠ノ井-直江津)が分断されました。まず、高崎-横川間・篠ノ井-直江津間はJR線として存続しました。
次に、横川-軽井沢間は、”碓氷峠”があり、勾配が66.7‰(※)という鉄道にとっては難所です。在来線当時は、この1駅区間のために1編成の車両数は12両が最大で、特別な装置が付いている車両限定の運用でした。さらに、長野方面の列車では最後尾に電気機関車が2両補助(鉄道業界では、補機といいます)として、連結して勾配を登りました。上野方面の列車は先頭車の前に補機が2両連結します。つまり、常に補機2両は勾配の下り側に連結するということです。このような、難所のためにこの区間は、バスへ転換となりました。
最後に、軽井沢-篠ノ井間は、第三セクターの【しなの鉄道】へと転換しました。フル規格の新幹線を建設する場合は、開通時には並行在来線は第三セクターへと転換する決まりになってしまいました。
2002年12月1日、東北新幹線の盛岡-八戸間が開通しました。それと、同時に在来線の東北本線の盛岡-目時(めとき)間は【IGRいわて銀河鉄道】、目時―八戸間は【青い森鉄道】にそれぞれ転換されました。運用上は、1本の路線となっています。
2004年3月13日、九州新幹線の新八代-鹿児島中央間が開通しました。そして、鹿児島本線の新八代-鹿児島中央間のうち、新八代-八代間、川内(せんだい)-鹿児島中央間はJR線のままで、八代-川内間だけが第三セクターの【肥薩おれんじ鉄道】に転換されました。
前置きが長くなってしまいましたが、私が言いたいことはフル規格の新幹線が開通すると在来線はJRでは面倒を見てくれなくなります。つまり、JRは在来線を見捨てた・切り離したと感じます。”第三セクター”とは、地方自治体が中心となってそれぞれ出資して経営していくことです。赤字の場合は、その地方の税金で穴埋めしなくてはなりません。赤字が累積となれば、いずれ廃止も視野に含まれるでしょう。現実として、国鉄時代の赤字地方ローカル線を第三セクターに転換した路線のうち、廃止を表明した路線も出てきました。
果たして、全てがフル規格の新幹線がいいのでしょうか?。山形新幹線や秋田新幹線、あるいは在来線を高規格の路線に改造して最高速度が160km/h出せる路線や、”フリーゲージ・トレイン”(実車両での試験中。実用化は未知数)等といろいろな選択肢があり、在来線を十分に活用できて、工事費もフル規格の新幹線よりは低くできます。
建設自体には私は必ずしも、反対ではありません。地方の方にとっては、東京と含めた首都圏や、それぞれの地方都市へ短い時間で移動できるメリットは分ります。しかし、税金の無駄遣いにならないでしょうか?。道路公団のように、トンネル・鉄橋などの建造物が必要ですので。また、鉄道ファンとしては、いろいろな由緒ある建築物や名所、特急列車等がなくなるのが寂しいです。
※ 66.7‰(パーミル)・・・1000m進む間に、高低差が66.7mあるという意味です。ちなみに、道路では%(パーセント)を使います。4%とは、100m進む間に、高低差が4mあるということです。
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